商品ではなく、つくる行為そのものに価値を宿すために
“つくること”は、
体験を売るためのプロジェクトではありません。
集客を増やすための仕組みでも、
売上を上げるための手法でもありません。
私たちが向き合っているのは、
人が手を動かし、迷い、判断しながら
続けてきた仕事の営みそのものです。
なぜ“つくること”なのか
多くの仕事は、
完成した商品や成果だけで評価されてきました。
しかし現場には、
商品になる前の時間があります。
・材料を選ぶ
・工程を組み立てる
・うまくいかない理由を考える
・やらない判断をする
その過程こそが、
仕事の価値であり、
人を惹きつける力だと考えています。
レジンテーブル制作の現場から
“つくること”の考え方は、
机上で生まれたものではありません。
もともとは、
木材やレジンを使った制作の現場で、
多くの人と時間を過ごす中で
少しずつ形になっていきました。
完成品よりも、
途中の時間をよく覚えている人。
用意された正解よりも、
自分で迷った工程を語る人。
うまくいかなかった部分を、
なぜか誇らしげに話す人。
そうした姿を何度も見てきたことで、
「何をつくるか」よりも
「どう関わるか」が
人を深く結びつけるのだと
確信するようになりました。
“つくること”は、
そうした現場の実感から
生まれた取り組みです。
体験を「つくる」とはどういうことか
“つくること”が考える体験は、
何かを教えることではありません。
見せることでも、
参加させることでもありません。
仕事の途中にある判断や迷いに、
ほんの少し関わってもらうこと。
その関与が、
「買う人」と「つくる人」の関係を、
静かに変えていきます。
体験を増やさない理由
体験は、増やせば良いものではありません。
やりすぎると、
現場が疲れます。
仕事が壊れます。
関係が軽くなります。
“つくること”では、
あえて「やらない」選択を重視します。
・向いていない仕事はやらない
・今じゃない場合は見送る
・続かない形はつくらない
対象としている仕事
“つくること”が向き合っているのは、
次のような仕事です。
- 農業・畜産業・林業などの一次産業
- 製造業・町工場・製材所
- 木工・金属・陶芸などの手工業
- 小さな飲食店・サービス業
- 技術や工程に誇りを持つ仕事
※ 大量生産・大量消費を前提とした業態や、
即効性のみを求める取り組みとは、
考え方が合わない場合があります。
“つくること”の立ち位置
“つくること”は、
答えを与える存在ではありません。
正解を提示することも、
成果を約束することもしません。
現場と一緒に考え、
無理のない線を引き、
続けられる形を探る。
そのための対話と設計を行います。
行政・地域との関わり方
地域に根づいた仕事は、
簡単に「観光資源」や「コンテンツ」に
してはいけないと考えています。
“つくること”は、
行政と事業者の間に立ち、
事業者に無理をさせず、
行政の説明責任も損なわない形を
一緒に整えます。
最後に
“つくること”は、
何かを始めるための場所ではありません。
やるか、やらないか。
今か、今じゃないか。
それを静かに考えるための、
ひとつの視点です。